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よくわからない生きもの

昼休みに、三限の大教室のすみっこでお昼ごはんを食べていたら、ともだちがやってきた。にこにこしながら、「サラダチキンダイエットの効果でてきた」というので、わたしはその子の顔を見て、あ〜たしかにやせた気がする、と言った。そうすると、2キロやせた、このへんがね、と顔のえらあたりをさすりながらまたにこにこして、今度はかばんからコンビニのビニール袋を取り出した。「だから、今日は、これ」と言って、タニタ食堂の100kclデザートカスタードプリンをていねいに机に並べる。その感じがとてもかわいらしくて、わたしもにこにこした。その子は近々、けっこう長くつき合った彼氏と別れるらしいというのを別のともだちから聞いていたので、そのことについて聞こうかなと思ったんだけど、なんとなくやめて、プリンいいな〜と言った。

今日の三限はもうひとり、ともだちが来る。ともだちとかぶっている授業は少ないので授業はだいたいひとりで受けているけど、この授業はいつも三人で受ける。でもなかなかもう一人が来なくて、そういえばきのう彼氏とけんかして、もうやばいかも、みたいなことを相談されたのを思い出した。休むのかなと思っていたら、少し遅れるとラインが来た。授業が始まって20分くらいしたらまたラインが来て、どうしよう、泣いてしまって行けない、泣くだけ泣いてから行く、と言われた。大丈夫かーべつに今日休んでもよさそうだよとか言うと、でも行くもう着く、と言って、5分後くらいに教室に入ってきた。入ってきたとき、口が思いっきり「へ」の字をしていて、かわいくて、笑ってしまいそうになった。

そのあとは四限を受けて帰るつもりでいたけど、その遅れてきた友人が出るというので、五限のあとに一緒に就職ガイダンスを受けることにした。それまでは図書館でぼーっとしたりした。今日は自己分析/適職診断講座で、とても嫌な内容であった。専用のウェブサイトで、いくつかの、そんなの自分で選んだら本当の自分についてじゃなくて理想の自分について答えるでしょっていうような質問に、強くそう思う!どちらかといえばそう思う!とか、どちらかといえばそう思わない!とかをどんどん選んで、診断する!、を押すと、〜あなたはコップから水が溢れ出すように想像力が溢れているタイプです〜とか言ってくるやつをやらされた。そんなのまったく信用できないとおもう。この結果で、あなたは創造的思考力に恵まれています適した業界はマスコミ業界ですとか言われたのを信じ込んで、撃沈する人とかいそうとおもった。性格悪い。でもそんな内容だった。

就職ガイダンスの前に、そのともだちに何も聞かないのも変かなとおもって、(彼氏と)どうなった?と聞いたら、話しだす前に、いまこの話すると泣いちゃうから、と本当に泣く寸前みたいな顔で言われたので、あわててごめんとあやまった。ガイダンスが終わって、そのともだちについて、いつもは使わないひとつ先の駅まで歩いた。その子とは使っている駅がちがうのだけど、今日はその友人のほうの駅を使って帰った。なんとかはげましてあげようとおもって、「サーティーワン食べたい」と言ったら、「うちはアイスいらない」と言われた。じゃあわたしが食べるの見てて、と言ったけど、けっきょくサーティワンには行かなかった。その代わりに、ブックオフに寄った。何冊か買いたい本があったから寄ったんだけどその本はどれもぜんぶなくて、連れてきちゃったのに申し訳ないなとおもっていたら、そのともだちが「いまの気持ちに、合う本を選んで」と言ってきたのでびっくりした。そういわれると、最近読んだ本も今まで読んだ本もどうにも思い出せなくて、しかも目の前には大量の本が並んでいるもんだからよけいにわからなくなった。とりあえず、ぜったいこの中からひとつ選ぼうといって、100円コーナーをぐるぐるした。なんとなく、有名だし読みやすいしおもしろいし元気でるから、とりあえずこれ読みな、と、吉本ばななのキッチンを買わせた。キッチンを読んで、感想やおもうこと、考えたことはいろいろあるけど、まとめるのがむずかしい。最後まで読んで、やっぱり、いちばん大切にしたい人とはつき合うべきなんだな、とおもった。つき合わないのはずるいこと。つき合わなきゃいけない。自分の考え方は間違っていたことに気がついた。でも、気がついても何も変えられないけど。ともだちがレジでお会計をしているとき、ポイントカードをつくっていたのがうれしかった。わたしもつられて、読もうとおもっていた、うたかた/サンクチュアリなど、文庫を三冊買った。ともだちが「わー、本とかはじめて買ったかも……はずかしい」というので、ちゃんと読むんだぞ、と言った。うん帰ったら読む〜と言って、ふたりでブックオフの紺色のビニール袋をふらふらさせながら駅まで歩いた。

昨日、そのともだちに彼氏とのあれこれを相談されたとき、「うちは◯◯(彼氏)のために、細くなってかわいくなっていればそれでいいとおもっていたけど、ちがった」と言っていたのが、とても印象に残っている。今日はすごく、女の子はいいなあ自分は女でよかったなあとおもった一日だった。