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ドライなライフは意外とつめたい

家に帰ってきて、ただいま〜と言いながら勢いよく自分の部屋のドアを開けて、そのままぱたん、とベッドにうつ伏せに倒れこむと、いい匂いがする。鼻に気合いを入れてもう一度深く息を吸うと、やっぱり石けんのいい匂いがする。そのまま、ベッドに顔をくっつけたまま目を開けてみると、おもったよりすぐ鼻の先にまっ白いキャミソールがあった。そういえば、朝着替えたとき、この時期はまだ洋服の下にいつもキャミソールを着ているんだけど、今日はこの白いのを着ようとおもって、シャワーを浴びたあとすぐにこれを着たけど、洋服を選ぶときになって、白い薄手のブラウスを着ることにしたので、この白いキャミソールだとブラジャーが透けてしまうかもしれないとおもって、黒いキャミソールに着替え直したんだった。そのときにベッドに脱ぎ捨てたキャミソール。裏がえって、ぐしゃぐしゃになっていたのにまだ洗剤とボディソープのまざったいい匂いがのこっていた。

今日は「きのう8時半くらいに寝たのに、起きたの11時だった」という自慢をともだち3人くらいにした。きのう口の、べろの裏に大きな口内炎ができてしまって、とても痛くてごはんを食べるのもつらかったのだけど、朝起きて鏡で見たらすっかりなくなっていた。それでも、これだけ寝るとどうしても一日ずっと眠たくて、あくびばかりしていた。

学校がおわったあとはともだちとあそんだ。普段あまり行かない街をたくさん歩いた。今日のハイライトは、ドライフラワーの話だった。わたしが、好きな男の子の家に行って、ドライフラワーが飾ってあったら絶望しない?と聞いたことからはじまった。このあいだツイッターですごくおしゃれな男の子をみつけて、写真やらいろいろ見ていたら、部屋の写真が載せてあって、ドライフラワーが飾ってあった。花瓶に挿してあるのと、壁に貼り付けてあるのと両方あった。こんなわたしになにを言われる筋合いもないのはもちろんわかっているけれど、絶対やめたほうがいいとおもってしまった。おしゃれな女の子も、よく、ドライフラワーをすこしの束にして下向きにして、マスキングテープで壁に貼り付けたりしているけれど(インスタなどでよく見る、実際にともだちの家で見たりしたことはない)わたしはすきじゃない。そもそも、わたしはドライフラワーがきらい。小さいころ母親が、ドライフラワーは人間でいうとミイラなんだから飾ったりするのはよくない、と言っていたのを聞いていたから、なんだか見ていてこわくなる。でもなんとなく、ドライフラワーを部屋に飾ることがきらいなのは、ただ単にドライフラワーがきらいというだけではないとわかる。それはたぶん、ドライフラワーを部屋に飾るような人は、ベレー帽をかぶって外に出かけることができるし自分の服装を鏡の前で写真におさめて自分のSNSに投稿できる人だし本当は自分に必要ないものでも他人から見た自分には必要だとおもうものならわけがわからずも大事にする人だとおもうから。どうしてそういうのが嫌なのかというと自分のなかにもそういう人がいるから。で、こんなふうにわたしがドライフラワーについて熱弁していたら、ちょうど入った本屋さんに「ドライフラワー図鑑」というのが平置きしてあったので、ともだちと一緒に、あれこれ言いながらぺらぺらとページをめくった。それからまた、就活やら高校時代の話やらをして、洋服屋さんや雑貨屋さんを何軒か見てまわった。とちゅうで、たまに買い物をするかわいい洋服屋さんに入ったとき、ともだちが壁を指差しなざら笑いかけてくるので、なにかと思ってその先を見たら、ドライフラワーがすこしの束になって下向きになってマスキングテープで壁に貼り付けてあるのが6個くらいあった。そのときは、意外とかわいく見えた。でも、わたしはひとり暮らしをしたらちゃんと生きている植物をたくさん置いて、小さいのも大きいのもいくつも置いて自分のつかうコーヒーカップでお水をあげて植物園みたいにしたいとおもった。