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栄養ドリンクの引きよせ

まさに夏休み一日目、という天気。いやなテストやらレポートやらがおわったからか、空もきれいにみえる。暑いけど、それがたのしいくらい。

教習所にむかう途中の送迎バスで、運転手のおじさんがリポビタンDをくれた。いきなり、「リポビタンD飲む?」と聞かれたのでびっくりした。乗っているのがわたしひとりだったからサービスなのか、もしかしたら、わたしがとても、これから運転なんてできないようなくらいつかれているように見えたのかもしれない。今日は高速教習なので助かります、と言ってありがたく受け取ると、運転手のおじさんはいろいろと話しかけてきた。「きみ、ポケモンGOやってる?」と聞かれたので、やっていません。と言うと「きみ、いいね〜!」とほめられた。あと、「暑いのと寒いのどっちが得意?」と聞かれたので「ん〜、さむいのです」と言ったら、だよね!とルームミラーごしにグーをされた。そうしたら「きみ、O型?」と聞かれた。わたしはざんねんながら、B型だった。

高速教習は、教官一人とわたしのほかにあと二人生徒が同乗して、三時間、交代交代に運転する。待合室に中学の同級生男子がいて、一緒だったらいやだな……とずっとどきどきしていた。一緒じゃありませんようにと願っていたら、ちがったので安心した。でもなんと、一人は同じ中学に通っていた同い年の女の子だった。部活もちがったし、クラスも同じになったことがないけど話したことはあるくらいの子で、でもなぜか、わたしは中学の同級生に会ってもしらんふりしてにげることが多いけど、その子は自分から話しかけたくなる子だった。浪人していた時も一度電車であったことがあって、その子も浪人していて、たしか医学部を目指していたんだったとおもって聞いたら、今年やっと受かって、いま一年生だということだった。もう一人は同い年くらいの感じのよさそうな男の子で、シンプルな服装にまだ紐が白くきれいに反射した紺色のニューバランスを履いていた。教官も、もうなんどもお世話になっている人だったので、とても当たりだとおもった。最初はその男の子が運転することになって、わたしと友達はうしろにすわった。わたしたちがたのしそうに話すのを見て、教官が男の子を気の毒におもったのか、名簿を見て「◯◯くんも、△△らへんに住んでいるんだね〜」というので、「どこ中ですか?」と聞いたら隣の中学だった。つづいて、「いまいくつですか?」と聞いたら「今年ではたちで、いま大学2年です。」というので「じゃあわたしたちのほうが2つ上でした。」と言ったら、まさかの年上ですか、と驚いていた。わたしも背が小さいし、友達も私より背が小さいので、お姉さんには見えないようだった。そんなかんじでなかよくなって、もはや教習というよりドライブだった。休憩のサービスエリアでは三人でお茶をしたし、一人が運転している時は、うしろの二人でずっと話していた。運転のこと以外にも、その男の子の妹がわたしの出身高校にいま通っていたり、共通の友人がいたり、話すことは無理しなくてもあった。三時間のあいだで、お互い通っている大学も教えたし、アルバイト先も教えたし、夏休みの予定も話した。ほんとうにとてもたのしくて、たぶんほかの二人もすごくたのしかったとおもう。それでも、車から降りてロビーについたら「おつかれさまでした。」といって、一瞬でばらばらになった。もったいない気もするけど、すぐばらばらになるからこそちょうどよくたのしかったような気もする。わたしはたぶんこういうのが好きなんだとおもう。これからしばらく旅行に行ってしまって教習所に行けないので、きっとそのあいだに二人は通いおわるだろうから、もう会うことはないだろう。でも、もしもう一回会ったら、自分から話しかけたくなる人たちだった。

帰りのバスに乗ると、運転手は行きと同じおじさんで、高速どうだった?と聞いてくる。「リポビタンDのおかげで、とてもたのしかったです。」とお礼を言った。リポビタンDのパワーはすごいなあとおもった。元気のでない日は、レッドブルよりもこれを飲むようにしようとおもった。