おおきく振りかぶっての阿部くんを通して自分の中学時代を思い出した

呪術廻戦の五条悟から始まりハイキューの黒尾鉄朗、ヒロアカのホークスを経てcv:中村悠一のかっこよさに溺れている。きわめつけは友達に借りた「おおきく振りかぶって」。

私は中学時代ソフトボール部だった。先輩が引退してからはレギュラーでサードを守り、打順は2番だった。サードがやりたかったのはバッターにいちばん近くていちばん強い打球が飛んできてそれでいてファーストまではいちばん遠くて投げるのが大変で、いちばんカッコイイ感じがしたから。他にやりたい人がいなかったのと、どんなに怒られても素直に頑張るキャラ(当時)が怖いコーチに見初められて一度もその席を人に譲ったことはなかった。今思えばそんなにうまくなかった気がするから、本当に根性だけで守っていたような気がする。肩もそんなに強くなかったから、体勢を崩したときはファーストへ意地を張らずワンバンで投げろとよく注意された。3年生のときは最後の大会に向けた練習中にチームメイトのライナー打球が右目に直撃して(練習中にぼーっとよそ見していた)何週間も眼帯で過ごし一時的に右目だけ視力がめちゃくちゃ低下して最後の試合に果たして間に合うのか…!?と周囲をひと騒がせするというROOKIES」みたいなことも起こった。打順が2番だったのは打つパワーがなくて足がちょっと速かったから(当時)。でもそんなにバントをした記憶はない。

うちの市内には4校ソフトボール部があって大会はすべて総当たり戦で、1位になった学校だけが地区大会へ進み、たしかそこで1勝すれば県大会だった気がする。私の中学は私が入学した当初は県大会常連校でかなり強かったのだけれど、途中で指導してくれていた外部の怖いコーチがいなくなって、たちまち弱くなった。私の3年生夏の最後の大会は市内2位で引退した。

グラウンドはソフトボール部と野球部、サッカー部、陸上部で使っていて、練習中はキャッチミスしたボールや取れなかったノックの球が他の部活の陣地に入ってしまうことがよくあった。「いま〇〇先輩に拾ってもらったでしょ!いいな〜ずるーい」とか「今日は3回も〇〇くんのボール拾ったわ」とかがあった。たまたまそのボールが好きな人の足もとへ転がって、気づいて拾ってくれて、こちらへノーバンで投げてくれて、それをバシッとキャッチして「ありがとうございまーすっ!!」といってキュンとしたり、それを見ていた仲間にうわ〜にやにやしてるう〜〜みたいなことを言われたり、またはそれを誰かに言ったりもした。

日が長い夏場は、部活が終わってからもだらだら部室で着替えたりして19時ごろまでグラウンドにいたと思う。誰も直接的に言わなかったけど、それは遅くまで練習している野球部とさりげなく帰る時間をそろえたかったからだと思う。私の代の部員はちょうど9人いて、中には野球部と付き合っていて曜日を決めて一緒に帰る子もいたし、そうでない人もなんとなく気になる対象が野球部にいるものだった。またそれは、野球部もたぶん同じだった。

私も2年生から3年生にかけて野球部に好きな人がいた。その子はレフトを守っていて、かなり野球がうまかった。休日に野球部が学校で練習試合をしていたとき、レフトからその子が投げたバックホームでアウトを取ったスーパープレーを見かけたことがあった。それはまさにレーザービームで、きれいにアウトを取っていたのがずっと忘れられなくて、本当に心の底から“ぎゅん”という音がして、かっこいいと思ったのを覚えている。控えの投手でもあって、練習試合でたまに投げたりもしていた。部活中、わざとピッチャー交代のタイミングでトイレ行くといって、こっそりネット越しにその子が投げる姿を見ていたこともあった(野球部のホームベース側に唯一外用トイレがあった)。

という記憶を思い出したのは、おおきく振りかぶっての阿部くんが、その、中学時代に好きだった野球部の男子にちょっと似ている気がしたから。いやでも今よく考えたら似ていないかもしれない。あんなに無愛想でそっけない感じじゃなくてもっと可愛げがあってただシャイなだけで、もっと女の子のことも気にしていたかも。ただcv:中村悠一によって野球部の男子を好きだったころの自分を久しぶりに思い出しただけかもしれない。

なんて狭い世界で生きていたんだろうと思うと同時に、本当に本当に恥ずかしことを言うけど、ああいうのを青春というんだろうなと思う。あの頃は、私がその野球部の子のレフトからのレーザービームをみて悶えたのと同じように、自分の気づいていないところで誰か男の子が自分のことを見ていて、自分の気づいていないところで私のことをかわいいと思ってくれていて、私でオナニーをしていたんじゃないかと思う。そしてそういうことを思い出すと、それに恥じないよう、今もちゃんと頑張ってなるべくかわいく、気を引き締めてきちんと清潔に生きようと思える。