春が来そうでさびしいだけ

今日は、1日に3軒も喫茶店に行ってしまったから、かなりだめ人間だった。

午前中に面接があったんだけど、言いたいことがうまく言えず、くやしいおもいをした。一生懸命に伝えようとすればするほど、どんどん自分が何を言っているのかわからなくなって、話が到着しなくなりそうで、それが怖くなってもっともっと話すけど、そうすればするほどぐちゃぐちゃになっていった。たとえるなら、書道の二度書き、よくばったバイキング、すっぴんのほうがかわいい!。

それにしても、面接官の女のひとの福耳がすごかった。その福耳を見て、中学生のとき福耳の友だちのことを「福耳みみちゃん」と呼んでいたのおもいだした。それから、同じグループだった女の子がももクロの赤い子にそっくりで、むしろその赤の子がお忍びで就活しているくらい似ていた。その子の話もなかなかにぐちゃぐちゃだったけど、一生懸命話す姿がすごくかわいかった。おわって会社を出たところで、「ももクロに似てますね」と話しかけて、駅まで一緒に帰った。

わたしは、緊張していると、方向音痴が病気レベルになってしまう。だから、面接や説明会の1時間半前くらいにその最寄駅について、まず一度その会社まで行って入り口を確認するようにしている。そして、そこからいちばん近くの喫茶店を探して入る。それでも、そこから会社へ向かうとき、ついさっき通った道と同じでも、朝はなかった車が止まっていたり、閉まっていたお店が開いていたりするだけで、まったくちがう場所に見えてしまう。それで、不安になってべつの道へ行き、ここもちがう、さらに別の道に行き、ここもちがう、もう自分がどこにいるかわからなくなって、グーグルのアプリを確認してあわててもどる。これだけちゃんと自覚しているのに、ほんとうにわからないのだ。今日も、きのうもそうなってしまった。そういえば、浪人したときのセンター試験も、トイレに行ったきり自分の席にもどれなくなって、立ち入り禁止の場所に入りそうになって、係りの人に保護されたことがあった。

 

今日はあまりいいことがなかったけど、天気が良かったし、昼はだいぶんあたたかかったからか、なんとなく気分も良かった。これで雨だったら、面接おわり、びしょびしょになって泣いていたかもしれない。もうダッフルコートはクリーニングに出したし、さむいのは飽きた。「春が来そうでさびしいだけ」という平賀さち枝の曲がぴったり合う日だった。

もうすぐ4月になって、学校に行けばきらきらの新入生がいて、5月びょうだとかいう人が出てきて、すぐ誕生日が来てしまう。そのころ就活はどうなっているのか、考えるのがこわい。